そのあと、桟橋の方に戻り、うさぎを見ながら少し歩いた。
「あー、楽しかったです」
と海を見ながらのぞみが言うと、
「……このまま帰らないって手もあるぞ」
と京平は言ってくる。
「嫌ですよ」
と振り向き、のぞみは言った。
少し寂しそうな顔をした京平に言う。
「お父さんたちに、専務が悪く言われるの、嫌なんで」
そう言うと、京平は俯きがちに、
「……うん」
と言って笑う。
な、なんなんですかっ。
その可愛らしい笑い方はっ。
照れるではないですか、とのぞみも俯く。
すると、カシャッと音がした。
顔を上げると、京平がこちらに向けて、カメラを構えている。
「よし、今のが、今日の撮りおさめだ。
お前に始まり、お前に終わらせたぞ」
と満足げに京平が言ったとき、のぞみは熱帯植物の下で、うさぎが束になって寝ているのを発見した。



