わたしと専務のナイショの話

 



 ホテルでカキフライ定食を食べ、お土産を見て、またうさぎと戯れたあと、

「夕暮れの廃墟も撮りたい」
と京平が言い出したので、帰りも、廃墟ルートを通ることになった。

 だが、廃墟で撮影していると、京平は挙動不審な人のように――

 いや、まあ、普段から、結構、挙動は不審なのだが――、

 何度も振り返っていた。

「どうしました?」
とのぞみが訊くと、

「いや、御堂かと思ったら、うさぎだった」
と言う。

 見ると、倒壊しそうな建物の陰から白いうさぎがちょこんと覗いている。

「……行くか」
と言う京平について薄暗いトンネルに入ると、日陰になっているので、結構、うさぎが居た。

 だが、京平は、それで和むでもなく、そこでもまた、はっ、とすごい形相で後ろを振り返る。

 同じく廃墟を撮影しているらしい若い男がカメラを持ってトンネルに入ってきたのを確認したあとで、

「御堂かと思った……」
と汗をぬぐってた。