わたしと専務のナイショの話





 休暇村前は、うさぎだらけだった。

 さすが、島で一番うさぎの居る場所。

 京平は後ろのホテルを振り返りながら、
「昼はホテルで食べるか。
 お前、弁当作ってきたりするようなキャラじゃないしな」
と言う。

 ……ニンジンは切ってきましたよ、と思うのぞみの前でしゃがみ、京平は、何度もうさぎをカメラにおさめていた。

「そういえば、なんで、さっき撮らなかったんです?
 三匹おしりがもふもふのとき」

「……なにを言っているのかわからないが。

 うさぎが三匹こちらに背を向けて寝てたときのことか?」
と京平は眉をひそめて言ったあとで、またうさぎにカメラを向けながら、

「このカメラ、今日のために買ったんだよ。
 最初にお前を撮ろうと思ってたから。

 お前が綺麗に写りそうなとこまで待ってた」
と言う。

 照れるんですが……。

 真顔で真面目に言わないでください、と思いながら、のぞみは、黙ってうさぎと京平を見ていた。