わたしと専務のナイショの話

 



 少し歩くと、うさぎがちょこちょこっと顔を覗けた。

 足許に来て、ちょい、と京平の足に触れてくる。

 だが、お、と京平が下を向くと、何故か、すい、と逃げた。

 殺気を感じたのかもしれないな、とのぞみは思う。

 いや、そんなものうさぎに向かって出しているはずもないのだが、京平は、普段から、仕事のときの勢いで目つきが鋭いことが多いからだ。

 今も、せっかく近づいてきたうさぎを逃すまいとして、すごい目をしていた。

「やはり、エサを出さないと近くにとどまってはくれないな」

「ニンジンスティックの出番ですねー。
 従兄のめーちゃんがうさぎ、リンゴの方が好きみたいだって言ってましたけど」
とのぞみがカバンから、ごそごそタッパーから出していると、

「そんな小さな従妹が居るのか?」
とちっちゃい子がうさぎを飼っているイメージなのか、京平はそう言ってきた。