わたしと専務のナイショの話

 



 
 巨大な廃墟だ。

 のぞみは昔、発電所だったというその大きな建物を見上げた。

 中は立ち入り禁止だが、壁がないくらいほとんど窓なので、中の様子もよく見える。

 がらんとした巨大な空間があるだけで、なにもないようだった。

 廃墟って、写真で見たら、美しいけど、実際に見たら、寂しい感じがするかな、と思っていたのだが。

 ただただ静かだ。

 緑に覆われたやはり巨大な毒ガス貯蔵庫まで来たとき、京平が、
「のぞみ」
と声をかけてきた。

 振り返ると、京平がシャッターを切る。

 鞄から取り出したらしき、立派な一眼レフのカメラを手にしている。

 京平は今撮った画像を確認しながら、
「ちょうど光と影の感じがいいな」
と言った。

「しかし、こうして見ると、お前、ほんとに綺麗だな」
と画像の方ののぞみを見ながら言ったあとで、実物を見、首を傾げる。