わたしと専務のナイショの話

 しかし、草に覆われた廃墟の写真の、あの、なんとも言えない、物悲しいような、それでいて、ゲームのワンシーンのような雰囲気が好きなだけで、実際に行きたいわけではない。

 なにか出そうだからだ。

「よし、廃墟はこっちだな」
と言って、さっさと京平は歩き出す。

 ああっ、待ってくださいっ、と思ったが、人の言うことを聞くような男ではないし。

 京平が人の言うことを聞くような人間なら、今、此処に二人でこうしてはいない。

「専務、お茶です」
「ありがとう」

 くらいしか会話のない関係を今でも続けていたに違いない。

「大丈夫だ。
 廃墟を通ると、うさぎがいっぱい居る場所に出られるそうだ」

「いやそれ、きっと、別のとこ通ってもいけますよね……」
となんだかんだで京平について行きながら、のぞみは後ろを振り返る。

 楽しげな家族連れは、無料バスに乗るか、反対方向に向かって歩いていっているからだ。

 だが、廃墟に向かうコースの道の端にうさぎが寝ていた。

 三匹並んで、こちらに背を向け、おしりをもふっとさせて寝ている。