わたしと専務のナイショの話

「でも、抱っこ禁止なんですよね~。
 こんな可愛いのに触っちゃいけないとか、拷問ですよね~」
としゃがんだのぞみがうさぎを見ながら、笑って言うと、

「まるでお前だな」
と後ろから、ぼそりと京平が言ってくる。

「この箱入り娘、なにからなにまで親の許可がいるもんな。

 親の許可も本人の許可もとれないし。

 許してくれるのは、何故か、従兄の遼一郎さんだけ。

 遼一郎さんを連れてくればよかった。

 あの人なら、お前を襲っていいかと訊いたら、いいよいいよ、と笑って言ってくれそうだ」

 いや、何故、遼ちゃんに、私を襲っていいかどうかの決定権があると思ってるんですか、と思ったとき、京平が側にしゃがんだ。

 だが、その瞬間、うさぎが、ひょっと逃げてしまう。

「……不愉快なうさぎだな」

「いや、エサやらないから、逃げただけですよ。
 でも、此処はエサやり禁止なんですね~」
とのぞみは桟橋と道路の辺りを見回した。