わたしと専務のナイショの話

 ひーっ。

 身動きできませんーっ。

 うっかり動いて、専務が肩からずり落ちたりしたらどうしようっ、と思ったのぞみは動けなくなる。

 起こしても可哀想だし。

 そのまま専務の頭が膝の上に落下してきたりしたら、きっとショック死してしまう。

 私が――。

 のぞみは膝の上で両手を固く握り、ぴくりとも動かないようにしていたが。

 船なので、どうしても揺れる。

 瀬戸内海なので、大きく揺れることはないのだが、その振動で京平の頭が落ちないよう、揺れたときは、それに合わせて、自分も動いてみたりしていた。

 誰かーっ、助けてーっ!

 こんなときに頼りになるのは誰だろう、と思い浮かべてみたが。

 何故か、なんにも考えてない遼一郎しか思い浮かばなかった。

 そんな血も凍るような時間を過ごし、十分以上過ぎた頃、大久野島がいよいよ近づいてきた。

「せ、せんむ~。

 専務~。

 そろそろ着きます~」

 専務~、と呼びかけると、ようやく京平が目を覚ます。