わたしと専務のナイショの話

 



「遼一郎さんはもう帰ったのか」

 専務室に仕事で行くと、京平が機嫌よくそう言ってくる。

 昨日、寝る前のメールで、親公認で、うさぎ島に行けることになったと報告したからだ。

「はい。
 そのまま、また、実家に向かって走っていってしまって」

「元気だな……。
 足もむちゃくちゃ速かったしな」
とリレーのときのことを思い出しながら、京平は言ってくる。

「というわけで、やはり、日帰り弾丸ツアーになってしまいました。
 すみません」

 専務は長く、もふもふしたかったのかもしれないのに申し訳ないな、と思って言うと、

「いや、せっかく得たお父さんの信用を損ねないためにも、その方がいいと俺も思ってたところだ。
 むしろ、二人で旅行に行く許可をどうやってもらおうかと考えあぐねていたところだったから、助かったよ。

 遼一郎さんに、なにか土産を買って帰ろうな」
とホッとしたように笑って言ってくる。

「……やわらかい、さきいかとビールを買ってあげると喜ぶと思いますよ」

 そうのぞみは言った。