わたしと専務のナイショの話

 遼一郎の話を聞きながら、テレビを見ていた信雄は、ああ、いや……と苦い顔をする。

「そうか。
 土産買ってきてくれよ。

 うさぎはいいからな。
 あれ、家で飼うと大変だし。

 うさぎのくせに、ねずみ算式に増えてくからな」

 いや……そもそも、うさぎ、連れて逃げちゃ駄目なんじゃ……と思うのぞみの後ろから、もぞもぞと信雄が言ってきた。

「いや、泊まりというのは、外聞が悪いじゃないか」

「でも、おじさん。
 泊まろうが泊まるまいが、やるときはや――」

「遼ちゃんっ。
 コロッケ、一個あげるよーっ」

 ひーっ、なんの話を始めるか、貴様っ、と思いながら、皿に小さなコロッケをひとつ投げ入れる。

「おお、のぞみ、すまんな」
と細かいことは気にしない遼一郎は笑い、

「コロッケといえば――」
と全然違う話を始めた。

 だが、なんだかんだで、声の大きな遼一郎に煙に巻かれる形で、京平とうさぎ島に行く話は、信雄に承諾された。