わたしと専務のナイショの話

 伽耶子はもう一度、並んだその車を見、

「でも、私は嫁は貴女がいいのよ。
 もう何十年も先の未来まで、貴女込みで想定しているの。

 年をとったら、貴女と京平が孫を連れて、私たちが隠居している別荘を訪れるのよ」
と言い出す。

「だから、貴女にお嫁に来てもらわないと困るわ」

 まっすぐ、のぞみを見つめ、そう言ってくる伽耶子にのぞみは言った。

「……お母様、なんででしょう。
 京平さんにプロポーズされたときより、感動しました、今」

 おい、と言われるかと思ったのだが、京平は京平で黙り込んでいる。

 どうしました? と思ったのだが、

「……いや、すまん」
と京平は言う。

「お前に今、京平さんと呼ばれて、言葉が出なかった――」

 いやいやいや。
 それは、お母様に専務というのも変ですし。

 いつぞやみたいに、槙京平さんと、警察の人間が言うように、この場で言うのも変でしすね、と思いながら、赤くなって俯くと、笑った伽耶子が窓の外を見て言い出した。