わたしと専務のナイショの話

「まあ、伽耶子さんとこの息子さん、相変わらず男前ねえ」

「ほら、あの、なんとかいう俳優に似てない?

 ほら……

 あ~、年とったら、言葉が出て来ないわねえ」

 ……向こうの話が聞こえてくるということは、こちらの話も聞こえているということだな、と背中でその声を聞きながら思っていると、京平が、
「とりあえず、出るか」
と気まずそうに言ってきた。

「親の目があったら、いちゃいちゃできないじゃないか」

 いや、あの方々が来られなくとも、こんなところではできないと思いますが。

 ……いや、他の場所なら、できるってわけではないですよ?
と心の声が京平に聞こえているわけもないのに、心の中で突っ込んでいると、伽耶子がやってきた。

「もう帰るの?
 みんなに挨拶して帰ってね」

「……わかったよ」
と面倒事を避けるように京平はそう言う。