わたしと専務のナイショの話

 だが、のぞみは、
「すみません。
 私、二回もお茶したので、お腹いっぱいなうえに、お母さんに帰ってご飯を食べると言ってしまいました」
と答える。

「そうか。
 じゃあ、仕方ないな」
とあっさり引き下がった京平が、少し寂しそうに見えたので、つい、

「あ、じゃあ、うちで一緒に食べます?」
と言ったのだが、京平は、いや、と断ってきた。

「毎度、そういうの、お母さんも困るだろ。

 ……お母さん」

 ん? 今、お母さんが二度も出てきたぞ、と思いながら、京平を見ると、京平はのぞみの後ろを見ていた。

 振り返ると、エスカレーターをこの場にちょっぴり不似合いなゴージャスなマダムたちが上がってきている。

「ほら、図書館のところにこんなの出来たのよ」

「あら、寄ってみる?」

「私、こういうところ、初めてだわ」
とわらわら話しながら、こちらにやってくる。

 京平が舌打ちをし、
「……あの連中、図書館に用などないだろうに、何故来る」
と呟いていた。