わたしと専務のナイショの話

「待ち合わせてた人ってなんだ。
 彼氏です、とか言えよ」
と京平は文句を言ってくる。

 まあ確かに。
 待ち合わせてはなかったし、彼氏の方がまだ正しかったか。

 ……彼氏か。

 この人、私の彼氏なのか。

 なにか照れるではないですか、と赤くなっていると、
「どうした」
とそんなのぞみの顔を見て、少し和らいだトーンで京平は訊いてくる。

「いえ、彼氏とか、新鮮な言葉だなと思って」

「縁がなかったんだろう」

 ……いけませんか?

 男の子の友だちはたくさん居るんですよ。

 でも、まったく、そのような展開にならなかっただけですが……。

「恋人とか、彼氏とか、元カレとかいう言葉を口にしたことがないので、すぐに出なかったんです、すみません」

 そう言いながら、彼氏より、恋人の方が照れるな、とのぞみは思っていたのだが、京平はまるで違うところが気になっていたらしい。