わたしと専務のナイショの話

 のぞみが、
「いえっ、それが……っ」
と振り返ると、後ろからも、

「どうした、のぞみっ」
と声がした。

 京平だった。

 ……貴方だったんですか。

 どうして、本と棚の隙間からホラーみたいに覗いてるんですか、と思ったときには、既に相手を痴漢か変質者だと思い込んだ警察官が、
「ちょっと、君」
と京平に話しかけていた。

「すす、すみません。
 違います。

 その人は……」

 その人は? とお巡りさんと京平が自分を見る。

「その人は……」

 その人はっ!? と京平が見た。

「……待ち合わせしてた人です。
 ちょっとびっくりして、すみません」
とのぞみはお巡りさんに謝った。

 だが、お巡りさんは、知り合いでもDVとかかもしれん、という目で、京平を見、のぞみに、
「なにかあったら、すぐに警察に来るか、何処か近くの店にでも駆け込んでくださいね」
と言って去って行った。

 いや……暴力なら、今、まさに受けそうな雰囲気になってきたのですが。