わたしと専務のナイショの話

「俺は、こう見えて、なかなか気持ちの切り替えられない男なんだ。

 お前のいいところを探そうと酔っているときに思ったのが、暗示になったみたいで。

 このところ、お前のいいところばかりが目につくんだ」

 いや、貴方、昨日も、私をこのボケがって目で見てましたよね……。

「それに、いい女と居ると、こっちも少しは格好つけなきゃいけない気がして、気が休まらないが。

 お前とだと、少々駄目な自分でも許される気がして。

 俺が求めていたのは、実はこういう安らぎを与えてくれる女なんじゃないかと思ったり――。

 だが、お前は一応、専務のものだ。

 気持ちを切り替えるために、日々、お前をいろいろと罵ってみてたんだが」

 いやそれ、迷惑ですよ、と思った瞬間、祐人がのぞみの側の壁に手をついた。

 地下に響いた音に、思わず、びくりとする。

「……坂下」

 祐人はのぞみを間近に見下ろし、言ってきた。

「俺は……やっぱり、なんとなく、お前が好きな気がする」

 いや、貴方、どんだけ自分の気持ちに自信がないんですか……と思うのぞみに祐人は言う。