わたしと専務のナイショの話

「なによそれ~っ。
 学生の恋愛みたいじゃない。

 いいなあ。
 私も祐人に図書館に誘われたい~っ」

「じゃあ、今からご自分で誘ってみられてはいかがですか?」
と言うと、

「でも、もう帰る感じで出て来ちゃったしな~」
と秘書室を振り返りながら、迷う万美子を可愛いなと思って眺めていたのだが。

「お疲れさまです」
と営業のイケメンのお兄さんが側を通りかかった途端、万美子は急にいい女の顔になり、

「お疲れさまです」
と彼に微笑みかける。

 営業さんが通り過ぎたあとで、

「……その二重人格がまずいんじゃないですかね?」
と呟くと、

「なんなのよ。
 いいじゃないのよ。

 祐人が駄目だったときの保険もいるでしょう~っ」
と万美子は言う。

 そういえば、二人の仲が上手くいかなかったときの保険とか、なんにも考えてなさそうだな、あの人。

 仕事では慎重なのにな、とのぞみは京平を思い浮かべた。