わたしと専務のナイショの話

 



 専務に突っ込まれる前に、早く言わなければっ、と専務室に入る前から、のぞみは身構えていた。

 今にも、その間違いに気づいた京平が、お前、猫にひかれたんじゃなくて、はねられたんだろ、と高笑いしながら、言ってきそうだったからだ。

 だが、私、猫にはねられた女だったんですっ、と告白したのぞみに、京平は、
「どうでもいいだろっ、その話ーっ」
と叫んできた。

 そうか。
 どうでもいいのか……。

 よかった、とほっと息をついたのぞみに、京平は言う。

「今、お前が、御堂への愛を告白し始めたら、お前を遠くの支社に飛ばそうと思ってたところだ。

 何処がいい?

 札幌か?」

 札幌か。
 ラーメンが食べたいな。

「九州か?」

 九州か。
 ラーメンが食べたいな。

「専務、ラーメン食べに行きませんか」

「今の話の流れで、なんでだ……」

「いや、話題に出たら、食べたくなるじゃないですか、ラーメンって」

「何処にも話題に出てないよな……?」

 それこそ、教えさとすように、京平は言ってくる。