わたしと専務のナイショの話

 いや、それはさすがに嘘ですよ、と苦笑いしながら聞いているのぞみに、京平は続けて言ってくる。

「俺は実は、こうして、誰かに好きだと言ったのは初めてで。

 なにがあっても別れたくないと思ったのも初めてだ。

 俺は今まで出会った誰よりお前が好きらしい。

 残念なことに――」

 そう言いのぞみの頰に触れかけ、やめたかと思うと、京平は、いきなり、キレ始めた。

「ほんと残念だよっ。
 なんでお前なんだよっ。

 他にいい女はいっぱい居るのにっ。
 どうして、俺はお前しか目に入らないっ!」

 あの……、そろそろこの部屋から、出てってもらっていいですかね、と思っていると、京平はいきなりまた耳を塞ぎ、言ってきた。

「さあ、言え。
 思う存分、言い訳しろっ」

 いや、聞いてないじゃないですか。

 そのうち、こちらの声が聞こえないように、あわわわわわ、とか叫び出しそうだなと思いながらも、のぞみは言った。

 その方が都合がよかったからだ。

「専務。

 私――

 専務のことが好きなのかもしれません」

 沈黙があった。