わたしと専務のナイショの話

 



「ただいまー」
と家に帰ったのぞみは、家の中の光景に、おや? と思い、玄関に戻ろうかと思った。

 家を間違えたのかと思ったのだ。

 しかし、どう間違ったら、こういうこういう光景になるのか謎なのだが――。

「お帰り」
とダイニングテーブルに座る京平が振り返り、のぞみに言ってくる。

「遅かったな」

「あ、すみませ……」

「電話、出なかったじゃないか」

 その笑顔がなんか怖いんですけど、専務、と思いながら、のぞみは慌ててスマホを確認してみた。

 京平からメールと電話が入っている。

「あっ、すみませんっ。
 図書館行ったとき、マナーモードにして、忘れてましたっ」
と謝ると、

「いや、いい。
 そういうこともあるよな」
と教師時代を彷彿とさせる口調で京平は言ってくる。

 完全に駄目な生徒の相手をしている口調だ。

 だが、あのときより数段、怖い。