わたしと専務のナイショの話

 


 目も合わすなよと言った人が、何度も視界に入るんですが……。

 同じ棚で本を見ている祐人に、ぼそりとのぞみは言った。

「なんで此処に居るんですか」

「お前が俺の行くところに居るんだよ。
 ……趣味が似てるのかな」
と言う祐人に、そうですか、では、と言って、旅行雑誌のところに移動する。

 週末、一緒に雪山に行きたい、と言った京平の言葉か頭にあったからかもしれない。

 しかし、この季節に雪山……。

 何処まで北上すればいいんだろうな、と思いながら、雑誌をめくっていると、
「専務と旅行にでも行くのか」
と真横で声がした。

 ひっ、と身をすくめる。

「なんで……っ。

 ……なんで私について来るんですかっ」

 つい大きくなった声を抑えて言うと、祐人は腕を組んで、のぞみを見下ろし、
「思い上がるな。
 俺の行くところにお前が居るだけだ」
と言ってくる。

 ああ、そうですか、と移動しかけたが、祐人はまた、ついて来る。