わたしと専務のナイショの話

 



 万美子から解放されたのぞみは、永井さん、よっぽど、御堂さんのことが好きなんだろうなあ、と思いながら、秘書室に戻った。

 祐人はそっちの秘書室の方に居て、仕事で来たらしい同期の人と話していた。

 ボウリング大会でも見た人だ。

 確か、山下さん、って名前だったな。

 今、山下って聞こえたからな……。

 人の顔も名前も相変わらず、うろ覚えだ。

 考えてみれば、高三の担任の顔と名前を覚えていただけで、奇跡ではあるまいか、と京平にどつかれそうなことを思う。

 そんなことを考えながら、帰り支度をしていると、山下が、古いパソコンの載ったデスクの引き出しから物を取り出す祐人に言っていた。

「あれ?
 そっちもお前のデスクなの?」

 端のお誕生日席のようなところに座っている祐人の右前がのぞみで、左前が変色している古いパソコンと資料の積まれたデスクなのだが。

 祐人はこのパソコンでよく昔のデータを読み出したりしているので、ほぼ祐人専用パソコンデスクとなっているのだ。

「いいだろう。
 俺の机は二個あるんだよ」
と祐人は子どものように喜んでいる。