わたしと専務のナイショの話

「あんた、祐人と何処までしたのよ。
 祐人に迫られて、祐人を好きにならない女なんて居るわけないわっ」

 恋は人をおかしくさせるようですね……、とのぞみは思っていた。

 御堂さん、仕事中はかなり厳しいので、苦手な人も結構居ると思うんですが。

 そのうち、誰かトイレに入ってきてくれるかも、と淡い期待を抱いていたのだが、ドアの向こうにも、かなりの剣幕でまくし立てている万美子の声は聞こえていることだろう。

 誰も入ってきてくれないだろうな、と思ったのぞみは観念した。

「いや、あの、私は他にその……」

 好きな人が――

 居るのだろうか。

 好きなのだろうか。

 うむ……。

「なんなのよ、はっきり言いなさいよ」

 黙り込んだのぞみを万美子が一喝してくる。

 ひいっ。

 まだ、好きか好きでないか、ほんのり迷っていたい時期なんですけど~と思っていたが、強制的におのれの感情を決めさせられる。