わたしと専務のナイショの話

 


 よし、お手洗いに行って帰ろう、と思ってトイレに行ったのぞみだったが、出ようとした瞬間、出口を手で塞がれる。

 ひーっ、壁ドンッ?

 いや、後ろに壁ないが。

 しかも、此処は女子トイレなんだが。

 どっちかといえば、カツアゲが?

 いや、こんな会社にヤンキー居るわけないがっ、と京平も顔負けのスピードで、瞬時に、いろいろ考えながら見上げたそこには、万美子が居た。

 出ようとしたのぞみを中に向かって、しっしと手で追う。

 ……ドアを閉められましたよ。

 不幸にも、トイレの中に他に人は居なかった。

 まあ、居たとしても、万美子の迫力に震えがって出て来ないと思うが、などと考えていると、

「ねえ、あんた、祐人となにかあった?」
と万美子が訊いてくる。

「……ありません」
と答えると、腕を組み、切れ長の目で自分を見ていた万美子は、

「嘘のつけない子ね」
と溜息をつき、言ってくる。