わたしと専務のナイショの話

「何処かにまだ雪が降ってるところはないだろうかな」

 だから、何故、雪山、と思っていると、ようやく顔を上げた京平は、
「雪で周りから隔絶されて、二人きりな感じがするだろ」
と言ってくる。

 いや、二人きりにも限度があると思うんですが、と思うのぞみに、
「そのうち、橋が落ちて、誰も俺たちのところに来られなくなるんだ」
と京平は言った。

 それは確実に殺人事件が起きますね。

 私が今まで読んできた大量の本からの推察ですが。

 ええ……。

「復旧まで時間がかかって、何週間も二人きり――」

 そんな感じだと、そのうち、水や食料がなくなって、サバイバルな感じになりますよ。

 のぞみの頭の中では専務と二人、物陰に潜み、雪の中を歩くマンモスを狙っていた。

「しかし、近くに携帯の基地局があって、光ファイバーが通ってないとな。
 仕事ができないじゃないか」

 仕事はするのか。

 っていうか、全然、世間から隔絶されてないじゃないですか、それ、とのぞみが思っていると、ふと、正気に戻ったように、京平が呟いた。