わたしと専務のナイショの話

「昨日のことは、お前も悪い。
 お前、酔うとなんか可愛いんだよな」

 そう祐人はこちらを見ないまま言う。

「……普段は?」
とつい訊くと、

「可愛くない」
とあっさり言って、祐人は立ち上がった。

 祐人は、そのまま、専務室のドアをノックし、ちょうどこちらに来ようとしていたらしい京平とドアのところで、原稿を手に打ち合わせていた。

 ……この人、私にあんなことしておいて、平然と専務と話してますよ。

 でもまあ、ってことは、あれは御堂さんにとっては、たいしたことではないってことだよな。

 このまま、なかったことにするのが一番だろう。

 そう、このときは思っていた。