「もうちょっと先までやっとくか?
 そしたら、専務とやるとき、迷うことなく、スムーズに行くだろう」

「結構ですーっ」

 この酔っ払いーっ、と思いながら叫ぶと、祐人はちょっとやさしげな顔になって笑い、ぽんぽん、とのぞみの頭を叩いてきた。

「今、専務の方が好きだと思ったろ?」

 ……え。

 っていうか、笑ってる。

 笑ってるな……。

 それをわからせるために今、したのかな?

 ありがたいような、いや、被害甚大なんだが、私的に。

 今まで、専務としかしたことなかったのに……。

「し、失礼します」
と慌てて先に出て行こうとすると、祐人に腕をつかまれる。

「待て、ひとりで帰る気か。
 危ないだろうが」

 いや、貴方が危ないです。

「お前になにかあったら、専務に申し訳立たんだろうが」

 いや、貴方が後ろから袈裟懸けに斬り殺されてください。

「なんで早足なんだ?
 なにか怒ってるのか?」