わたしと専務のナイショの話

 あれじゃなくて、ブービー賞が欲しかったんだ。

 ブービー賞は、プラネタリウムもある天文観測所のペアチケットだったのだ。

 ……専務にあげたら喜ぶかなと思ったわけではないですが。

 いや、ほんとに……。

 そもそもあの人、地学の教師なのに、一時間、勝海舟について語ってた人だからな。

 勝海舟記念館にでも連れていってあげた方が喜びそうだ、と思っていると、
「なんだお前、せっかく投げ方、教えてやったのに、溜息なんぞつきやがって、生意気だな。
 ほら」
と祐人は大きなチョコを一本くれる。

 三位の祐人は金色の円柱の箱に入った、巨大なチョコ棒詰め合わせだった。

「一位との差がひでえ」
とこの季節にダンボール一箱分の使い捨てカイロをもらった、二位の営業の男の人と二人で文句を言っていた。

「……ありがとうございます」

 金色のそのチョコを手に、のぞみが頭を下げたとき、
「あっ、しまった」
と祐人が叫ぶ。