わたしと専務のナイショの話

 




「あー、もうっ。
 ぼちぼち点、取れちゃったじゃないですかー。

 ブービー賞が欲しかったのに~。

 御堂さんが私のフォーム直してくれて、びっくりするほど、上手くなっちゃったからですよ~。
 ありがとうございますーっ」

「それは、愚痴ってんのか?
 礼言ってんのか?」

 どっちなんだ、と二次会のカラオケでマイクを持ったまま、そんなことを言い出すのぞみに、祐人が言う。

 人数が多過ぎたので、何部屋かに別れていた。

 此処は仲間内しか居ないので、かなり気楽な感じに呑めていた。

 きっちり愚痴り終わったところで、曲が始まり、歌い出したのぞみに、
「演歌のナレーションみたいだな……」
と祐人の同期らしい男が感心して呟く。

 歌い終わったのぞみは祐人の横に戻ると、
「御堂さんのお陰で、飛躍的に上手くなった気がします。
 ありがとうございました」
と改めて、礼を言い、頭を下げた。