わたしと専務のナイショの話

 あの川原で、のぞみが自分に向かって、
「専務、好きです」
というところを想像してみる。

 あの夕暮れの下駄箱で、のぞみが少し照れながら、
「先生、好きです」
と言って、チョコレートをそっと鞄から出して渡して来るところを想像する。

 朝の渡り廊下で、柵に股がったのぞみに、
「なんで、そこを乗り越えようとしている?」
と訊くと、

「先生が好きだからです」
と言ってくるところを想像する。

 そんな京平の顔を見ていた樫山が、
「……うん。
 お前がその子のことを好きなのはよくわかった」
と言ってきた。

 のぞみ、まだ、ボウリングをしてるんだろうか。

 ……あいつ、俺にマイボール、マイシューズ持ってるだろうとか言ってたが、自分はできるのか?

 のぞみのことだ。
 ボールと一緒に溝を転がってってピンの向こうの暗闇に呑まれていくんじゃないかと思って落ち着かない。

 いや、いい大人がそんなはずはないのだが。