わたしと専務のナイショの話

 



「ボウリング久しぶりです。
 私、いつもブービー賞だったんですよねー」
と景品を見ながら、ボウリング場で、のぞみは呟く。

「なかなか狙ってとれるもんじゃないがな、ブービー。
 っていうか、お前より下が居るのか」
とスコアボードを見上げて、祐人が言ってきた。

 祐人とは同じレーンで投げている。

 部署ごとに別れてやっているからだ。

「私は消える魔球が投げられますからね」
とのぞみがちょっと勝ち誇ったように言うと、

「……何処へ消えるんだ」
とレーンを見ながら、祐人は言ってくる。

「一度、ガターに落ちて、戻ってくるんです」

「いいのか? それは……」

「あっ、行ってきまーす」

 話はまだ途中っぽい感じではあったが、自分の番が来たので、丁寧に磨いたボールを手にのぞみは立ち上がる。

 いや、磨けばストライクが出るわけではないのだが、気合いを入れるために磨いてみたのだ。