わたしと専務のナイショの話

 っていうか、ハートマークなんか送ったら、私が専務にイチコロになってるみたいに見えないだろうか?

 余計な心配をしながら、ハートマークひとつ押せずに、のぞみはのたうちまわる。 
 
 押せない。
 どうしても……。

 かと言って、このままでは、素っ気なさすぎる。

 いい文句も浮かばないしなー。

 だが、ハートのついたメッセージを見た京平が、蔑むような表情をし、ふっと鼻で笑う幻が何度も頭をよぎる。

 教師時代から京平を知るが故のトラウマだ。

 ああっ、どうしたらっ、と更にのたうっていると、先に、京平からメールが入ってきてしまった。

『まだか?
 着いたら、連絡しろ』

 遅かったので心配になったらしい。

 すっ、すみませんっ、とのぞみは慌てて送信する。

 ハートマークのないままに。

『おやすみ』
と返ってきて、それきりだった。