「最初に乗ったときは、お前の車に乗るなんて、なんて恐ろしい。
 命がけだな、と思ったものだが」
とのぞみのピンクの車の助手席で京平が言ってきた。

 ふふ。
 二度も乗ったから、私の運転の確かさがわかってきたんですね、とほくそ笑むのぞみに、京平は、
「今はお前と死ぬのなら、それもいいかと思ってる」
と言ってくる。

「……だからあの、私の運転、危なくないですからね」
と言うのぞみの言葉を京平は聞いていない。

「だが、なんかこういうのもいいな」
と機嫌よく外を見ている。

「よし、運転手、川原に行け」
と言い出した。

 あんまり調子に乗ってるようなら、車から降り落としちゃおっかなーと思いながら、のぞみは加速した。