わたしと専務のナイショの話

 



 翌日、京平は落ち着かない気持ちでのぞみを待っていた。

 昨日の今日だ。

 どんな顔で会えばいいんだろうな? と仕事をしながらも、何度も専務室の扉を窺っていたのだが。

「失礼します」
と専務室に入ってきたのぞみは、

「これとこれとこれ、急ぎみたいですよ。
 あ、昨日はどうもありがとうございましたとお母様にお伝えください。

 では」
と頭を下げ、あっさり出て行こうとする。

「待て」
と言うと、のぞみは、はい? と振り返る。

「のぞみ」
と呼びかけると、初めて、そこで、のぞみは赤くなった。

 ……何故、今?

 ちょっと嫌な予感がしながら、京平は、
「なんで今、赤くなった?」
と訊いてみた。

「えっ。
 だって、急に専務がのぞみとかおっしゃるので」

「……昨日から呼んでるよな?」
と確認するように言うと、ええっ? とのぞみは叫ぶ。