わたしと専務のナイショの話

 伽耶子に言われてから、ずっとそのことを考えていたようだった。

 のぞみの両手を握ったまま、一歩近づいた京平がキスしてきた。

 長いですよ、今日は……。

 そう思いながらも、周りの光景が夢のようなので、酔ったのぞみは、そのまま、ぼんやりとしていた。

「駄目だ、帰ろう」
と焦ったように京平は言い出す。

「このままでは、お母さんたちの信頼を裏切るようなことをしてしまう。

 まず、馬を射って、外堀を埋めねば」

 のぞみの手を引き、慌てて帰ろうとする京平はそんなことを言ってくる。

 のぞみの頭の中では、馬が射られて、お城のお堀に埋められていた。

 車に乗るまで、ひとり何事か考えていたらしい京平は、乗った瞬間、言い出した。

「結婚しよう、のぞみっ。
 そしたら、なにをしても文句を言われないはずだっ」

 そうだ。
 来週辺りにっ!
と勝手に決めて、高らかに言ってくる。