わたしと専務のナイショの話

 手がつながれている。

 誰かと。

 いや、誰かとって、霊かなにかじゃない限り、専務なんだが、と思っていると、京平は前を見たまま、言ってくる。

「お前と手をつなぎたかったんだ。

 ……一緒に珈琲を飲みに行きたかったり。

 手をつなぎたかったり。

 お前と再会してからの俺は莫迦みたいじゃないか?

 やりたければやればいいのにな。

 仕事ならそうしてる。

 お前のことも、お前の意見など聞かずともやればいいのに、なんでできないんだろうな?」

 いや、聞いてください。

 私にも、職場の人にも。

 っていうか、貴方、結局、なにも聞かずに、勝手に結婚しようとしたり、キスしようとしたり、手を握ってきたりしてますよ。

 言いながら、……おや、順番がおかしいぞ、とのぞみは思っていた。