わたしと専務のナイショの話

「お前が将かどうかはともかくとして」

 ……本当に一言多いですね。

 私に好かれる気あるんですか?

 実はなにかの怨念と因縁で、復讐のために結婚とか、とのぞみが妄想を膨らませている間に、車は川沿いの駐車場に着いた。

 もっと早かったら、桜が綺麗だろうなーと思う桜並木があった。

 今は緑の木々がずらっと続いていて、これはこれで綺麗だ。

 川原には下りずに、上の道を京平と歩く。

 青々とした木々の上に、少しおぼろな三日月が浮かんでいるのを見ながら、まるでデートみたいだな、とのぞみは思っていた。

 京平も夜空を見上げながら、呟いている。

「少し霞んで、いい月だな」

「そうですね。
 PM2.5か黄砂のせいでしょうかね」

「……よく女が男に、ロマンがないというが、うちは圧倒的にお前がロマンがないな」

 そんな失敬な、と少し酔った頭でぼんやり思っていたが、あれ? と気づく。