わたしと専務のナイショの話

 



 先に伽耶子を送っていくことになり、やはり豪邸……と闇夜にそびえる京平の実家をのぞみは眺めた。

 ぜひ、結婚したくない。

 こういういいおうちは、なんだか、しきたりで、きゅうきゅうにされそうで嫌だ、と思うのぞみの頭の中で、のぞみはベルサイユに居て、コルセットを着せらせ、ウエストを細くするために、きゅうきゅう絞られていた。

「どうした、いつもより更にショボイ顔をして」

 ……この人、思ったままをすぐ口にするの、やめてくれないだろうか。

 のぞみは運転している京平の横顔をチラと窺う。

 子どもの頃は思ってた。

 素敵な王子様のような人とある日、運命的な出会いをして、恋に落ちて、結婚するんだと。

 なんの疑いもなく、そう思っていた。

 ……童話を子どもに読ませてはいかんな、とのぞみは思う。

 お幸せなシンデレラストーリーに洗脳されて、あとで困るのは、その子どもだ。