わたしと専務のナイショの話

 


「いや、お母さんっ。
 私は焼き牡蠣には日本酒が好きなんですけど。

 ワインもいいですねー」

「あら、じゃあ、日本酒にしなさいよ、のぞみさん。
 此処、日本酒もいいのがあるのよ」

 伽耶子の行きつけだというダイニングバーに三人は来ていた。

「降ります、とか叫んでた奴、誰だろうな……」

 運転手なので、酒の呑めない京平が言ってくる。

 そういえば、私の車は駐車場に入ったままなんだが、と思っていたのだが、
「明日まで置いておきなさいよ。
 駐車場代は私が払うから呑みなさい」
と伽耶子に言われたので、のぞみは素直に呑んでいた。

「あんたも車置いて帰るか、代行で帰ればいいじゃない」
と京平は伽耶子に言われていたが、

「いや、俺は坂下を送っていきたいんだ」
と言って、京平は固辞する。

「変わってるでしょ、この子ー」
と伽耶子は笑った。

「ほんとですねー、お母様」
と追従して笑うと、おい……という目で京平が見る。