「ごめんなさいね、のぞみさん、デート中に。
悪かったわね、京平。
家まで送ってちょうだい。
それだけでいいから」
と伽耶子は言ってくる。
どうも、改まって会うのは嫌だと思っているのが伽耶子にはわかっていたらしく、こうして、さりげなく会って、話そうとしているようだった。
ありがたいんだが……緊張する。
のぞみは助手席で、シートベルトを握り締めていた。
そもそも、私、此処に座ったのでいいのでしょうかね?
後部座席には、伽耶子がたくさんの荷物とともに、女王様のように座っている。
だが、この配置でいいのだろうが。
いや、会社なら、これでいいのだが。
秘書検定でも確かそう習った、と面接では生かせなかった秘書検定のときの知識を引っ張り出しながら、のぞみは思う。
だが、これは、一応、家族の集まりだ。
助手席は運転手ともっとも近しい人間が座る場所ではなかろうか。



