昼、祐人に連れられ、のぞみは会社から、少し離れた店にランチに行った。
近いと誰かに遭遇しそうだからだろう。
でも、みんな結構遠出してますけどね、と思いながら、誰か来るんじゃないかと、チラチラ駐車場の方を窺っていると、
「大丈夫だ。
出くわしたら、出くわしたときのことだ。
専務の用で、この近くまで来たついでに食べに来たと言えばいい。
来たのが、専務だったら……」
と言ったあとで、少し黙り、メニューに視線を落として、
「お前、なんとかしろ」
と言う。
あっ、投げましたねっ、と思うのぞみに、
「なんでも食え。
奢ってやる」
と祐人は言ってきた。
「えっ、いいですっ」
タダより高いものはないですっ、と思いながら言うと、チラと目を上げてこちらを見た祐人が、
「……口止めするのに、買収されるのと、撲殺されるのと、どっちがいい?」
と訊いてくる。



