わたしと専務のナイショの話

 いやいやいや。

 夕べからずっと、思い出すまいとしてるのにっ。

 あれは酔った弾みみたいなものでしょうしね、ええっ、と思いながら、会社近くの交差点で止まっていると、なんとなくコンビニが目に入った。

 中央分離帯の向こう、反対車線側のコンビニの前で背の高い男が、誰か女性と話している。

 少しふっくらとしたその女性はこちらに背を向けていたが、男の方の顔は見えていた。

 御堂祐人だった。

 誰なんだろうな~と思い、つい、見ていると、祐人と視線が合った。

 ……気がした。

 いやいや、そんな莫迦な。

 めちゃめちゃ距離がありますよ。

 車の中から外はよく見えるが、外から中はガラス窓に朝日が反射して見えづらいはず。

 しかも、これだけ距離があるのにっ?

 ああでも、車でわかるか、と思ったのぞみは、祐人に目で威嚇された気がした。

 いや、距離があるので、気のせいかもしれないが――。