わたしと専務のナイショの話

 



 何故、このお値段で食べられるのだろうか、北京ダック。

 そんなことを思いながら、北京ダックをつつきつつ、のぞみはよく冷えたビールをジョッキで呑んでいた。

「いいですねー。
 中華で呑むのって。

 ……でも、ふと正気にかえると、私、今、なんで、先生と差し向かいで呑んでんだろうなあって思うんです」

「ああ、違和感半端ないな……。

 補導したくなる」
と置いたジョッキを見つめ、京平は言ってくるが。

 いや、まだ私を未成年だと思っているのなら、おのれを淫行罪で逮捕してみられてはどうでしょう? とのぞみは思っていた。

 まあ、よく考えたら、無理やり、部屋に行かされたことと、のぞみって呼ばれたこと以外、なにもされてはいないのですが。

 そんなことを考えながらも、美味しくいただいたのだが。

 レジのところに行ったとき、どちらが払うかで揉めていると、誰かが後ろで笑った。

 振り返ると、すっきりとしたパンツ姿のショートカットの女性が立っている。

 あっ、とのぞみは思った。

「彼氏?」
と彼女は訊いてくる。