わたしと専務のナイショの話

 だが、それを聞いた京平は少し嬉しそうに、
「……そうだな」
と言って笑う。

 な、なんなんですか……。
 そんな風にやさしそうに微笑んだりとかしないでください。

 罠だっ、となんの罠だか知らないが思いながら、のぞみは思う。

 俯き、メニューに視線を落としたとき、よく冷えてそうなジョッキの写真が目に入った。

「中華だとやっぱり呑まなきゃですよねー」
と思わず言うと、

「お前、蕎麦屋に行っても、天ぷら屋に行っても、そう言ってるんだろう……」
と言われる。

 バレたか、と苦笑いしながら、
「でも、専務でも、こんなお店に来るんですね」
と言うと、

「近いからひとりでよく来るぞ。
 歩いて来られるから、呑んで帰れるしな」
と京平は言う。

「いつも、昨日みたいな店で食べてらっしゃるのかと思ってました」

「あれは、お前を喜ばせようと思って行ったんだ。
 ……まあ、この店の方が喜んでいるようだがな」

 いえいえ、そんなことはないですよ、と言いながら、ボタンを押して店員さんを呼んだ。