わたしと専務のナイショの話

 



 二人で夜の道を歩いて、近くの中華のファミレスに行った。

 これこれ、こういうとこでいいんですよ、と思いながら、店に入ると、順番待ちの人たちが居た。

 家族連れがソファでメニューを見ながら楽しそうに待っている。

 なんかいいなあ、と思いながら、のぞみはそれを眺めていた。

 ソファはもういっぱいだったので、レジの横、オモチャが並べてあるところの側で京平と待つ。

 人から見ると、我々も夫婦とかカップルとかに見えてしまうのでしょうかね、と思いながら、のぞみがチラと京平を見上げると、京平もチラとこちらを見ていた。

「そ、そういえば」
とそのまま沈黙しているのも気詰まりなので、のぞみは慌てて口を開いた。

「大学の頃、何処の店に行っても出会う人が居たんですよ。

 本当に何処のお店に行っても、たまたま、その人が居るんです。

 なんとなく、いつも視界に入ってて、そのうち、お互い、あっ、また? ってなって、笑い合ってたりしてたんですよね。

 全然知らない人なのに。

 行動パターンが似てたんでしょうかね?

 もういっそ、その人が私の運命の人なんじゃないかとか思っちゃいましたよー」
とのぞみが笑って言うと、混み合っている店内を見たまま、京平が言ってくる。

「それでなにもなかったのなら、運命でもなんでもないんだろうよ」