わたしと専務のナイショの話

 おのれの家なので、対照的に楽な感じにソファに腰掛けた京平が、

「もう、一度会って挨拶したんだから、緊張しないだろ。
 次の次の休みにでも、うちの親に結婚の挨拶に行こう」
と軽く言ってくる。

「でも……」

「此処に入るのを見られたんだろう?

 挨拶して、立場をハッキリさせておかないと、会社に入った途端、簡単に悪い男にたぶらかされた、ふしだらな女だと思われるぞ」

 いや、悪い男って、貴方ですよね~、とのぞみは恨めしげに、京平を見上げる。

 すると、肘掛に頬杖をついていた京平は、チラとこちらを見下ろし、

「ちなみに、お前が此処に居ることは、お前のお母さんにも言ってある」
と言い出した。

 えっ?
 いつの間にっ?

「せっかく得た、親御さんからの信頼を失いたくないからな。

『ご心配なら、いつでもお電話ください。
 五分置きでも、十分置きでも結構です』
と言って、此処に帰る前にかけておいた」

「……そんなこと言ったら、本当にかけてきますよ?」