わたしと専務のナイショの話

 槙伽耶子(まき かやこ)と名乗った京平の母は、
「此処のマンション、部屋が余ってるから、私はクローゼット代わりにしてるんだけど」
といきなり、なんだって? と問いたくなるようなことを言ってきた。

 近くでパーティなどが何件か重なったときや、お買い物のときなどに、着替えに寄ったり、ちょっと休んだりしているらしい。

 あのー。
 おっしゃっている意味がよくわからないんですが……。

 此処は、かなり立派な家族向けの大きなマンションだと思うのですが、と思うのぞみの前で大きく溜息をついて、伽耶子は言ってきた。

「此処、立地はとてもいいんだけど。

 今の空き部屋が京平の部屋と近いのが玉に瑕なのよね。

 こうして、息子の素行も目に入るし」

「……あのー、息子さん、素行悪いですか?」

 思わず、そう訊いてしまい、は? と言われる。

「今のとこ、京平の部屋に出入りしている女の人を見たのは貴女が初めてだけど。

 見てないときは知らないわ」

 そんなストレートなことを伽耶子は言ってきた。