わたしと専務のナイショの話

 京平の部屋の門扉の前に居たのぞみに向かい、
「あら」
と彼女は言った。

「貴女、京平の彼女?」

 ぞわぞわが強くなる。

 も、もしや……。

 もしや、このお方は――。

「専務……」
と言いかけ、やめる。

 専務とか言ったら、部下なのがバレバレだと気づいたからだ。

 なんと問うべきか迷ったのぞみは、

「槙京平さんのお母様ですか?」

 警察の者ですが、と続きそうな堅い口調で訊いてしまう。

 彼女は、この不審な女にも動じず、
「そうよ。
 貴女は?」
とのぞみを見据え、訊いてきた。

 ひいっ。
 やっぱりかっ!

 それにしても、何故、専務の隣の隣の部屋にお母様がっ!?
と動転しながらも、慌てて答える。