わたしと専務のナイショの話

 そんなしょうもないことを考えてるうちに、エレベーターは京平の部屋のある階に着いた。

 風強いな~。

 吹きっさらしの廊下を歩くのぞみは突風に目をしばたたかせつつ、思わず、下を見た。

 あ~、ゾクッと来る。

 専務、高いとこ苦手なのに、なんでこんな部屋に住んでんだ?

 この間言ってたみたいに、慣れるためだろうか? と思ったとき、一部屋飛んで、向こうの部屋から出てきた女性と目が合った。

 おそらく、のぞみの母親くらいの歳だと思われるが。

 上品で美しい。

 だが、見た瞬間、ぞわっと来てしまったのは、彼女を見たとき、一緒に、下の街の風景が視界に入ってきたせいではおそらくない。

 この顔は何処かで見た……と思ったからだった。