わたしと専務のナイショの話

「じゃ、車は此処に置いとけ。
 知り合いのビルだから、大丈夫だ。

 少しこの辺りを走ろう」

 乗れ、と京平は自分の車のドアの横に立ち、言ってきた。

「……嫌です」

「なんでだ」

 こんな、とりあえず、見た目は格好いい人に、自分から言うのもおこがましいな、と思い、黙っていると、京平は腕を組み、冷ややかな目でこちらを見下ろし、言ってくる。

「お前、俺に襲われると思ってるだろう」

 はい、と言うのもなんだかな、と思い、黙っていると、京平は、
「いや、襲うとも」
と宣言してくる。

「乗りませんっ」

「いいから、乗れ。
 人が見ている」

 チラと京平は視線を上げた。

 大きな白いイタリア車にちょうど乗り込もうとしている美しい外国人女性が居た。

 京平はそちらを窺いながら、
「お前が嫌がると、俺が人さらいみたいじゃないかっ」
と言ってくる。